特許権侵害訴訟において、特許無効の主張とは、「特許権が外形的に存在することは認めるが、その特許権は無効であるから、特許権者の侵害行為者に対する特許権の行使は許されない」という趣旨の侵害行為者側の主張をいう。特許権は、その対象となっている発明が特許要件[2]を欠いていれば、無効とされるのが本筋である。しかし、立法例の大勢は、特許権を設定し又はこれを無効とする権限を、裁判所にではなく専門の行政官庁に与えており、このような立法例の下では、裁判所が特許無効の主張を採用すれば当該行政官庁の権限を侵害することになり得る。そこで、このような主張を採用すること自体が許されないのではないかという問題が生じる。
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特許権侵害訴訟において、侵害行為者による特許無効の主張を許すか否かという問題点については、アメリカ合衆国はこれを許し、ドイツ連邦共和国及び同国の法文化の影響が強い各国(日本国、中華人民共和国等)はこれを許さないというのが、伝統的な制度設計ないしは司法解釈であった。
日本国や中華人民共和国は、このような特許無効の主張を許す方向に転じた。これに対して、ドイツ連邦共和国では、特許無効の主張を許すべきであるとする学説が存在するが、制度設計や司法解釈としては採用されていない。